花粉の季節、オープンはおろかクローズドで走っていてもくしゃみが止まらない。そんな悩みを抱えていませんか?
「せっかくのドライブが台無しだ」と思い、対策を調べ始めたあなたは、衝撃の事実に直面したはずです。「NDロードスターには、そもそもエアコンフィルターが付いていない」という事実に。そして、後付けしようと検索すれば、「内装剥がしが地獄」「爪を折った」「指を怪我した」といった恐ろしい体験談ばかりが目に入り、二の足を踏んでいるのではないでしょうか。
その不安、痛いほどよく分かります。愛車の内装をバキッと割ってしまう恐怖は、オーナーにとって悪夢そのものですから。
でも、安心してください。この記事は、単なる作業手順の羅列ではありません。NDロードスターの内装構造を徹底的に解析し、「ツメの構造」と「力のベクトル」を論理的に分解した、失敗しようがない完全攻略マニュアルです。
必要なのは「気合い」や「慣れ」ではなく、「正しい構造理解」だけです。この記事を読み終える頃には、あの複雑に見える助手席パネルが、驚くほどシンプルなパズルのように見えてくるはずです。さあ、一緒に「魔の室内側」を攻略しましょう。
・推奨製品: 風量が落ちない室内用(S-ND5)一択
・必須工具: 隠しボルト用に10mmソケットレンチが必要
・注意点: Aピラー断線とコネクター破損を回避する
・結論: 構造を理解すれば、素人でも破損ゼロで完了
エアコンフィルター取り付けで失敗しないための【準備・製品選び】に関する注意点2つ

作業を始める前に、勝負は決まっています。多くのオーナーが陥る「製品選びの罠」と「工具不足による手詰まり」を避けるため、まずは準備段階での重要な注意点を2つ解説します。
注意点1:外気導入口用(S-NDP)は風量が激減するため選ばない
NDロードスターのフィルターには、ボンネットを開けて簡単に装着できる「外気導入口用(S-NDP)」と、助手席の奥深くに装着する「室内用(S-ND5)」の2種類があります。
「作業が大変そうだから、とりあえず外気用でいいか」と考える気持ちは分かります。しかし、工学的な正解は、苦労してでも「室内用(S-ND5)」を選ぶことです。
最大の理由は「風量の大幅な低下」です。以下の比較表をご覧ください。
📊 エムリットフィルター性能比較表
【S-ND5(室内用) vs S-NDP(外気導入口用)】
| 項目 | 室内用(S-ND5) | 外気導入口用(S-NDP) | 判定 |
|---|---|---|---|
| 作業難易度 | 高(内装分解が必要) | 低(ボンネットを開けるだけ) | S-NDPが有利 |
| 集塵性能 | 高(PM2.5対応) | 中(大きなゴミ・花粉) | S-ND5が有利 |
| 風量維持率 | 約95%(純正同等) | 約50%(風量が半減) | S-ND5が圧倒的 |
| 内気循環時の効果 | 効果あり | 効果なし(実質無意味) | S-ND5が必須 |
外気導入口用は、吸気抵抗によりエアコンの風量が半分程度まで落ちてしまいます。これでは真夏のオープン走行時にエアコンが効かず、快適性が損なわれます。また、内気循環時にはフィルターを通らないため、花粉症対策としても不完全です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 愛車とあなた自身の快適性を守るなら、覚悟を決めて「室内用(S-ND5)」を選んでください。
なぜなら、多くの人が「楽だから」と外気用を選んだ結果、「風が弱い」と後悔し、結局あとから室内用に買い直しているからです。機能的損失(風量低下)を許容してまで作業をサボるメリットはありません。
注意点2:10mmソケットレンチを用意しないと作業不能になる
「ドライバーセットなら持っているから大丈夫」と思っていませんか? それが最大の落とし穴です。
NDロードスターの助手席パネル(大物パネル)は、一見するとクリップだけで止まっているように見えますが、実は1箇所だけボルトで固定されています。 しかも、このボルトはパネルの奥まった場所に隠れており、プラスドライバーでは回せません。
ここで必須となるのが「10mmのソケットレンチ」です。これを持っていない状態で作業を始めると、パネルが外れずに途方に暮れるか、無理に引っ張ってパネルを割ることになります。
NDロードスターの内装破損と怪我を防ぐ【作業中】の注意点3つ

準備が整ったら、いよいよ作業です。ここからは、実際に手を動かす際に「どこが壊れやすいか(地雷)」を3つに絞って解説します。これらを知っていれば、破損リスクはゼロにできます。
注意点3:Aピラーは「寸止め」してツイーター断線を回避する
最初の関門であるAピラー(フロントガラス横の柱)の内張り外し。ここには罠があります。
Aピラーの内張りには、高音用スピーカー(ツイーター)が埋め込まれており、車体側と短い配線で繋がっています。
「カチッ」とクリップが外れた勢いでそのまま引っ張ると、この細い配線をブチッと断線させてしまいます。
回避策: クリップが外れたら、必ず「寸止め」してください。隙間からコネクターが見えるので、それを外してからピラーを撤去します。
注意点4:固いコネクターは指で抜かず工具を使う
助手席足元のパネルを外す際、いくつかのコネクター(カプラー)を抜く必要がありますが、これらが非常に固く、指でつまんで抜こうとすると滑って怪我をするリスクが高いです。実際に「爪が剥がれた」「指を切った」という報告が後を絶ちません。
回避策: 無理に指で戦わないでください。精密マイナスドライバーなどで、コネクターの「ロック解除ツメ」を確実に押し込みながら引き抜けば、驚くほど軽い力で外れます。
注意点5:フィルターの「AIR FLOW」矢印は必ず下向きにする
苦労して辿り着いたフィルター装着段階でも、最後の注意点があります。それはフィルターの「向き」です。
エムリットフィルターには表裏があり、側面に「AIR FLOW(風向き)」を示す矢印が印刷されています。NDロードスターのエアコンは、上から下へ空気が流れる構造です。
回避策: フィルター側面の矢印が「下向き(↓)」になるようにセットしてください。逆向きに入れると、フィルターの性能が発揮されないだけでなく、目詰まりや風量低下の原因になります。
【完全図解】NDロードスターエアコンフィルター取り付け7ステップ
5つの注意点を頭に入れたあなたなら、もう怖いものはありません。スマホを片手に、この手順通りに進めてください。プラモデルを組み立てるように、論理的に作業すれば確実に成功します。
Step 1: 準備(安全の確保)
まず、ボンネットを開けてバッテリーのマイナス端子を外します(10mmナット)。これは、作業中に誤って電装系をショートさせたり、エアバッグ等の誤作動を防ぐための基本中の基本です。
Step 2: スカッフプレート&モール外し
ドアを開けてすぐ足元の「スカッフプレート(銀色の板)」と、その奥のゴム枠(ウェザーストリップ)を外します。これらは真上に引っ張るだけで簡単に外れます。
Step 3: Aピラー外し(注意点3参照)
上部を指で掴み、室内側へ引きます。「カチッ」と音がしたら寸止めし、隙間からツイーターのコネクターを外してから、ピラーを完全に撤去します。
Step 4: 【最難関】助手席パネル外し(注意点2・4参照)
いよいよ本丸です。
- 発炎筒パネル: 足元左側の小さなパネルを手前に引いて外します。
- 隠しボルト: その奥にある10mmのボルトをソケットレンチで外します。(これが注意点2のボルトです)
- 大物パネル: ボルトが外れたら、パネル全体を手前に引きます。
- 力のベクトル: 斜め上や下ではなく、「車両後方(座席側)」へ真っ直ぐ引いてください。
- コネクター: パネル裏のコネクターは、精密ドライバー等を使って安全に外してください。
Step 5: グローブボックス奥の鉄板外し
パネルが外れると、銀色の鉄板が現れます。これを固定しているボルトとナット(すべて10mm)を外します。配線がクリップで留まっているので、ラジオペンチ等で裏からツメを挟んで外します。
Step 6: フィルター装着(注意点5参照)
鉄板をずらすと、黒いエアコンユニットが見えます。
- ダクト外し: 手前にあるL字型のダクトを手前に引いて外します。
- フィルター挿入: エムリットフィルター(S-ND5)を挿入します。
- 向き: 矢印(AIR FLOW)が下向きであることを再確認してください。
Step 7: 逆手順で復元
来た道を戻ります。
- 確認: ボルトの締め忘れ、コネクターの挿し忘れがないか、一つずつ指差し確認してください。
- 最後: バッテリーを繋ぎ、エンジンをかけてエアコンの動作確認を行います。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「固くて外れない」と感じたら、絶対に力を込めないでください。
なぜなら、NDの内装パーツは正しい方向に引けば、驚くほど軽い力で外れるように設計されているからです。固いということは、「隠しボルトが残っている」か「引く角度が間違っている」証拠です。一度手を止め、ライトで隙間を照らし、ツメの向き(構造)を再確認してください。それがプロの仕事です。
NDロードスターのエアコンフィルターでよくある質問:異音がする?風量が弱い?
Q. 作業後、ダッシュボードから「カタカタ」と音がします。
A. 配線の固定忘れが原因の可能性が高いです。特にAピラー内のツイーター配線や、鉄板裏のハーネスが遊んでいませんか?結束バンドやスポンジテープで配線を固定し直してみてください。
Q. フィルターを入れたら風が弱くなった気がします。
A. 室内用(S-ND5)であれば、体感できるほどの風量低下は起きないはずです。もし極端に弱い場合は、注意点5で触れた通り、フィルターの表裏が逆(矢印が上向き)になっていないか、あるいはフィルターが奥まで正しく挿入されず、隙間から空気が漏れていないか確認してください。
Q. そもそも、なぜマツダは純正でフィルターを付けなかったのですか?
A. 軽量化とコストダウン、そして「オープンカーだから多少のホコリは許容する」という割り切りでしょう。しかし、日本の花粉事情を考えれば、フィルターは必須装備と言えます。メーカーが捨てた快適性を、あなたの手で取り戻したのです。
愛車NDロードスターときれいな空気と達成感を、その手に。
お疲れ様でした。無事にフィルターは装着できましたか?
今、あなたのNDロードスターのエアコンからは、花粉もPM2.5も取り除かれた、澄み切った空気が流れ出ているはずです。もう、くしゃみに怯えながらドライブする必要はありません。
そして何より、あなたは「魔の室内側」と呼ばれる難所を、内装を一つも壊すことなく攻略しました。そのきれいな空気は、あなたが「構造」を理解し、自分の手で勝ち取った勲章です。この経験を経た今のあなたは、もう愛車の構造を深く理解した「エキスパート」です。ドラレコの取り付けも、ETCの交換も、もう怖くはないはずです。
さあ、きれいな空気で、屋根を開けて走り出しましょう。最高のドライブが待っています。
[参考文献リスト]
- ND型ロードスター専用エアコンフィルター S-ND5/S-NDP 交換方法のご案内 – MLITFILTER公式サイト
- マツダ技報 No.32 (2015) 新型ロードスターの紹介 – マツダ株式会社



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