信号待ちでふと隣に並んだスポーツカー。青信号と共に「ボォォン!」という低く太い排気音を残して加速していく後ろ姿を見て、自分のNDロードスターのアクセルを踏んだ瞬間、「シュイーン」という掃除機のような純正音に、なんとも言えない寂しさを感じたことはありませんか?
「せっかくのスポーツカーなのだから、もっと心躍る音が欲しい」
そう思ってYouTubeでマフラー動画を検索し始めたものの、画面に並ぶのは「爆音」「車検NG」といった不穏なワードばかり。「高いお金を出して、家族に『うるさい』と怒られたり、近所迷惑になったりしたらどうしよう…」。そんな失敗への恐怖から、結局ブラウザを閉じてしまう。その気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、諦める必要はありません。「アイドリングは純正並みに静か」なのに、踏み込めば「フェラーリのような快音」を奏でる魔法のようなマフラーは実在します。
この記事では、音響工学の視点から厳選した、家族を欺く静粛性と魂を震わすサウンドを両立する「2つの正解」を、データと共に解説します。迷ったら、このどちらかを選べば間違いなく幸せになれます。
・動画選びは危険:ND特有の「こもり音」と厳しい「法規制」の罠に注意
・3つの絶対条件:「JQR認定」「調律構造」「アイドリング音量」で選べば失敗しない
・鉄板の2択:感動の「SACLAM」か、安心の「HKS」。迷ったらこのどちらかで決まり
・厳選15リスト:見た目・コスパ・走りなど、目的別にベストな一本を紹介
なぜNDロードスターのマフラー選びは「動画」で選ぶと失敗するのか?

マフラー選びで最もやってはいけないこと。それは、「YouTubeの再生音だけで購入を決めること」です。
私が最も苦労したのがこの「音の伝わり方」の違いでした。特にNDロードスターという車は、マフラー選びにおいて「こもり音(Drone)」という致命的な罠が潜んでいる車種なのです。
ND特有の「こもり音」地獄
NDロードスターは軽量化を極限まで追求した結果、トランクフロアの鉄板が非常に薄く作られています。これが何を意味するかというと、マフラーから出る低周波(ボーーという音)に対して、トランクフロア全体が太鼓の皮のように共振してしまうのです。
動画では「低音が効いていてカッコいい」と感じたマフラーも、実車で窓を閉めて走ると、3000回転付近で車内全体が「ボボボボ…」と不快に唸り始めます。これが「こもり音」です。この音は、長距離ドライブでは頭痛の種になり、助手席のパートナーとの会話さえ困難にします。
NDロードスターとトランクフロアは、構造的に共鳴しやすい関係にあります。 だからこそ、単に「音が大きいマフラー」を選ぶと、高い確率で後悔することになるのです。
2010年加速騒音規制という「法的な壁」
もう一つの落とし穴が法規制です。NDロードスターは全車、「平成22年(2010年)規制」の対象です。
昔のように「近接排気騒音(空吹かし)」が静かならOK、という時代は終わりました。現在は「加速走行騒音」という、走行中の音量も厳しく規制されています。ネットオークションなどで見かける「車検対応(JASMA認定なし)」という怪しい製品は、この加速騒音試験を受けていない可能性が高く、装着した時点で違法改造車となります。
NDロードスターの「後悔しないマフラー」3つの絶対条件

では、数ある製品の中から「本物」を見抜くにはどうすればいいのでしょうか。競合製品をベンチマークする際に必ずチェックしていた3つの基準を公開します。
1. 「JQR / JASMAプレート」がリベット留めされているか
これがスタートラインです。
先ほど触れた「加速騒音規制」をクリアしていることを証明するのが、マフラー本体に溶接またはリベット留めされた「性能等確認済表示(JQRまたはJASMAプレート)」です。
書類だけではダメです。車検の検査員は、リフトで車を上げてこのプレートを目視確認します。これがないマフラーは、どんなに静かでも門前払いです。
2. 「ヘルムホルツ共鳴器」などの調律構造があるか
ここが、こだわりポイントです。
「こもり音」の原因となる不快な低周波(100Hz〜200Hz付近)だけを消し、気持ち良い高音(400Hz〜)を残すためには、単なるグラスウール(吸音材)だけでは不可能です。
「ヘルムホルツ共鳴器」や「ループ管」といった、特定の周波数を打ち消すための物理的な構造を持っているか。これこそが、メーカーの技術力の見せ所であり、「こもり音」と「NDロードスター」の悪縁を断ち切る唯一の手段です。
3. アイドリング音量が「純正+5dB以内」か
家族を説得するための最後の砦です。
純正マフラーのアイドリング音量は、MT車で約89dB前後。これに対して、交換後のマフラーが94dBを超えると、明らかに「うるさい」と感じ始めます。
狙い目は「純正+3dB〜5dB」の範囲。人間の耳には「ちょっと元気になったかな?」程度の変化に聞こえますが、これなら「純正が錆びたから交換した」という言い訳が通用します。
【結論】NDロードスターのマフラーで迷ったらこの2択!性格の異なる「傑作」を徹底比較
お待たせしました。上記の厳しい条件をすべてクリアし、私が自信を持っておすすめできる「2つの正解」をご紹介します。
この2つは、「感動のSACLAM」と「安心のHKS」という、完全に対極の性格を持っています。あなたの優先順位に合わせて選んでください。
1. 魂を震わす管楽器:SACLAM(サクラム)サイレンサーキット
もしあなたが、「予算や納期よりも、とにかく最高の音と感動が欲しい」と願うなら、迷わずSACLAMを選んでください。
- 特徴: 独自の「周波数調整」技術により、不快な低音を完全にカットし、4000回転を超えたあたりから「カァァァン!」という突き抜けるような高周波サウンド(通称:サクラムサウンド)を奏でます。これはもはや自動車部品ではなく、「管楽器」です。
- メリット: こもり音は皆無。アイドリングは驚くほど静かで、深夜の住宅街でも気を使わないレベルです。
- デメリット: 職人の手作りであるため、価格が高く(20万円〜)、納期も数ヶ月待ちが当たり前です。
2. 失敗しない優等生:HKS LEGAMAX Sports
もしあなたが、「家族や近所の目が最優先。でも、純正よりは見た目も性能も良くしたい」という堅実派なら、HKSのLEGAMAX Sportsが最適解です。
- 特徴: 国内最大手の技術力を結集し、静粛性と排気効率を極めて高い次元でバランスさせています。HKSとSACLAMは対極の存在に見えますが、「こもり音を消す」というゴールへのアプローチが異なります。 HKSはサイレンサー容量とグラスウールの最適化でこれを達成しています。
- メリット: アイドリング音量は純正+3dB程度と非常に静か。それでいて低速トルクが太くなり、街乗りが楽になります。価格も手頃で即納されやすいのも魅力。
- デメリット: 音量は控えめなので、「爆音」を期待すると肩透かしを食らいます。あくまで「ジェントルなスポーツサウンド」です。
📊 SACLAM vs HKS 徹底比較表
| 項目 | SACLAM サイレンサーキット | HKS LEGAMAX Sports |
| キャッチコピー | 魂を震わす「管楽器」 | 失敗しない「優等生」 |
| 音質特性 | 高周波・倍音成分が強い<br>(鳴き重視) | 低音〜中音が太くなる<br>(ジェントル重視) |
| こもり音 | 皆無 (構造で消音) | ほぼ無し (容量で消音) |
| アイドリング | 純正同等 (非常に静か) | 純正+α (静か) |
| 価格帯 | 高い (20万円〜) | 手頃 (8万円〜) |
| 納期 | 長い (数ヶ月待ちも) | 早い (在庫あり多し) |
| こんな人に | 自分だけの快音に浸りたい人 | 家族・近所への配慮第一の人 |
目的別・NDロードスターのおすすめマフラー15選カタログ
「2択なのは分かったけど、他の選択肢も見てみたい」という方のために、目的別に厳選した13本(+上記2本)をご紹介します。
【定番・王道】信頼性とコスパのバランス重視(4選)
多くのユーザーに選ばれている定番モデルです。品質、音量、価格のバランスが良く、初めてのマフラー交換にも最適です。
| ブランド | 製品名 | 音量レベル | 特徴 |
| FUJITSUBO | AUTHORIZE R | 控えめ〜中 | 老舗の信頼感。軽量化と排気効率のバランスが良い。 |
| AutoExe | Sports Muffler | 控えめ | マツダ車を知り尽くした準純正。ディーラー入庫も安心。 |
| HKS | Hi-Power SPEC-L II | やや元気 | 超軽量。カーボン巻きテールでスポーティ。 |
| GReddy | Supreme SP | 中 (低音) | 伝統のトラストサウンド。低音が効いた迫力ある音質。 |
【ルックス重視】見た目で差をつける個性派(4選)
リアビューのインパクトを重視したい方へ。チタンカラーや4本出しなど、視覚的な満足度が高いモデルです。
| ブランド | 製品名 | 音量レベル | 特徴 |
| BLITZ | NUR-SPEC VSR | 中〜大 | 4本出しモデルあり。チタンカラーの焼き色が美しい。 |
| 柿本改 | Class KR | 中 (重低音) | 独特の重低音と二重ディフューザーテールの高級感。 |
| ROSSO MODELLO | COLBASSO Ti-C | やや元気 | テールカラーを10色以上から選べるオーダーメイド感覚。 |
| SARD | Ti-Z / Arouse Su | 中〜高音 | レース直系。フルチタンモデルは乾いた音が魅力。 |
【音質・性能特化】こだわり派の玄人モデル(5選)
構造や排気効率にとことんこだわった、知る人ぞ知る名品たち。SACLAM同様、特定のファンを持つモデルです。
| ブランド | 製品名 | 音量レベル | 特徴 |
| SURUGA SPEED | PFSループサウンド | 高音・快音 | SACLAM同様の「ループ管」構造。鋭いレスポンス。 |
| Odula | RS-spec | 元気 | ロータリー&ロードスター専門店のノウハウが凝縮。 |
| Integral Kobe | Jet’s N-1スペック | 乾いた音 | 「曲がるためのマフラー」。リニアな反応速度。 |
| R Magic | サウンドチューン | ジェントル | こもり音を消しつつ、独特の「鳴き」を実現。 |
| LEG MOTOR SPORT | クラブスポーツ | チタン音 | 広島の有名ショップ。チタン製で軽量かつトルクフル。 |
NDロードスターのマフラーで失敗しないための最終チェックリスト
購入ボタンを押す前に、以下の3点を必ず確認してください。
- 適合型式の確認:
- ND5RC (1.5L) なのか NDERC (RF 2.0L) なのか。
- MT車かAT車か。(AT車は適合外の製品もあります)
- 年式(i-ELOOP装着車などで適合が分かれる場合があります)。
- JQR/JASMAプレートの有無:
- 並行輸入品や競技用モデルにはプレートがありません。公道を走るなら必須です。
- 納期:
- SACLAMや受注生産のチタンマフラーは、注文から数ヶ月かかることがあります。車検の時期が近い場合は注意してください。
最後に:NDロードスターのマフラーは「試着」できないからこそ
マフラー選びは、服のように試着ができません。だからこそ、「自分が何を優先するか(音質、静かさ、見た目、コスパ)」を明確にすることが成功の鍵です。
この記事が、あなたのNDロードスターライフを彩る「運命の一本」との出会いになれば幸いです。


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