納車されたばかりのNDロードスターで、初めてのソロドライブ。高揚感の中でハンドルを握っていたとき、対向車線のロードスターから手を振られたのに、驚いて反応できず、そのまま通り過ぎてしまった……。
「せっかく挨拶してくれたのに、無視してしまった」
「感じ悪いと思われたかな」
そんな罪悪感と焦りで、せっかくのドライブの余韻が苦いものになっていませんか?
でも、安心してください。あなたがその時、とっさに手を振り返せなかったのは、ドライバーとして「正解」の行動です。
この記事では、初心者が絶対に知っておくべき「ヤエーの暗黙のルール5つ」を解説します。
「ヤエー(Yaeh)」は、ロードスター乗り同士の絆を深める素晴らしい文化ですが、一歩間違えれば事故の元凶にもなり得ます。この5つのルールさえ押さえておけば、あなたの罪悪感は「安全への自信」に変わり、次回のすれ違いが待ち遠しくなっているはずです。
さあ、安全で粋なロードスターライフの第一歩を踏み出しましょう。
・無理ならスルーでOK:挨拶は義務ではありません。安全が最優先です
・挨拶は「サムアップ」で:手を振らず、ハンドルを握ったまま親指を立てましょう
・パッシングは絶対NG:誤解やトラブルの元になるため禁止です
・無視されても気にしない:返事がないのは、相手が運転に集中している証拠です
なぜNDロードスター乗りは挨拶するのか?「ヤエー」の正体と歴史
そもそも、なぜ見ず知らずのロードスター同士が挨拶を交わすのでしょうか?
この文化のルーツは、実はバイク乗りの世界にあります。ツーリング中のライダー同士がすれ違いざまに手を挙げて互いの安全を祈る「ピースサイン」が起源とされ、英語の「YEAH!」のスペルミスから「YAEH!(ヤエー)」と呼ばれるようになったと言われています。
開放感あふれるオープンカーであるロードスターも、この文化と非常に親和性が高く、自然発生的に広まりました。マツダ公式もファンコミュニティを「ロードスター国」と表現することがありますが、まさにヤエーは、同じ車を愛する「同志」としての連帯感を確認し合う儀式のようなものです。
しかし、この楽しい文化を安全に続けるためには、ベテランたちが守り続けてきた「暗黙のルール」が存在します。
初心者が知っておきたい「ヤエー」の暗黙のNDロードスターのルール5つ

ここからは、事故を防ぎ、スマートにコミュニティに参加するための5つの鉄則を解説します。これらは単なるマナーではなく、自分と相手の安全を守るための防衛術でもあります。
ルール1:【安全第一】無理な状況なら「スルー」が正解
これが最も重要なルールです。
ヤエーは義務ではありません。あくまで、心と運転に「余裕がある時」だけの楽しみです。
カーブの途中、シフトチェンジの最中、合流地点など、運転操作が忙しい場面では、挨拶を返してはいけません。ベテランオーナーほど、「返さないこと」を「無視」とは捉えず、「おっ、運転に集中しているな。グッドドライバーだ」と好意的に受け取ります。
「返せたらラッキー、返せなくてもOK」。この軽い気持ちが、安全の第一歩です。
ルール2:【作法】基本はステアリングを握ったまま「サムアップ」
「どうやって手を振ればいいの?」と悩む初心者は多いですが、窓から大きく手を振る必要はありません。
ステアリングから手を離さない「サムアップ」か、軽く頭を下げる「会釈」。これが大人の最適解です。
具体的なアクションは以下の通りです。
- サムアップ: ステアリングのスポーク部分を握ったまま、親指だけをスッと立てます。相手からはシルエットとして「Good!」が見え、非常にスマートです。
- 会釈: 指一本動かすのも惜しい時は、軽く顎を引くだけで十分伝わります。
- サンバイザー挙手: 余裕がある時は、サンバイザー付近で小さく掌を見せます。視線移動が少なく安全です。
ルール3:【禁じ手】パッシングとクラクションは絶対NG
良かれと思ってやってしまいがちなのが、パッシングやクラクションでの挨拶です。しかし、これらは明確なNG行動です。
- パッシング: 一般的に「道を譲る」「警告(ネズミ捕りや事故あり)」「抗議」などの意味で使われます。挨拶のつもりでも、相手を不安にさせたり、誤解を与えたりするリスクがあります。
- クラクション: 道路交通法上、警音器は「危険を防止するためやむを得ない場合」以外での使用が禁止されています(警音器使用制限違反)。騒音トラブルの原因にもなるため、絶対にやめましょう。
ルール4:【心構え】返ってこなくても「気にしない」が鉄則
勇気を出して挨拶したのに、無視された……。そんな時も落ち込む必要はありません。
「返さない勇気」もまた、相手の安全を守るマナーだからです。
相手が反応しなかったのは、あなたを無視したからではなく、安全運転義務を優先した結果である可能性が高いです。あるいは、あなたと同じように納車したての初心者で、驚いて固まってしまったのかもしれません。
反応がなくても「ご安全に!」と心の中でエールを送る。その心の余裕こそが、大人のロードスター乗りの証です。
ルール5:【TPO】街中や通勤時は控えめに
ヤエーを行う場所とタイミング(TPO)をわきまえるのも、大切なルールです。
- 推奨エリア: ツーリングスポット、郊外の快走路、すれ違いざまの交通量が少ない場所。
- 控えるべきエリア: 街中、通勤時間帯の渋滞路、住宅街。
街中は交通量が多く、歩行者や自転車への注意が最優先されます。また、生活道路でむやみに盛り上がるのは、周囲の迷惑になることもあります。「楽しむ場所」と「移動する場所」を使い分けるのが、スマートなドライバーです。
NDロードスターに乗る上でよくある質問 (FAQ)
最後に、ルールに関連してよく受ける質問にお答えします。
Q1: 助手席の人もやっていいの?
A: もちろんです! 大歓迎です。
助手席ライフとヤエーは、互いに補完し合う関係にあります。ドライバーが運転に集中していて手が離せない時、助手席の方が代わりに手を振ってくれるのは、対向車にとっても非常に嬉しいものです。「助手席の人も楽しんでくれているんだな」と、より温かい気持ちになれます。
Q2: 他の車種(RX-7など)にもしていい?
A: マツダのスポーツカー同士なら通じることが多いですが、相手の反応を見て判断しましょう。
基本はロードスター同士ですが、RX-7やRX-8などのマツダスポーツカーオーナーも同じような連帯感を持っていることが多いです。ただし、無理に行う必要はありません。
一瞬の挨拶、一生の安全。スマートなNDロードスター乗りへ
ヤエーは、ロードスターという特別な車が繋いでくれる、一瞬の奇跡のようなコミュニケーションです。
しかし、その一瞬のために、一生を棒に振るような事故を起こしては本末転倒です。
「一瞬の挨拶、一生の安全」
今回ご紹介した5つのルールを胸に、次回のドライブでは、まずは軽くステアリングを握ったままの「会釈」や「サムアップ」から始めてみてください。もし返ってこなくても、あなたは安全を最優先した「グッドドライバー」です。何も恥じることはありません。
今週末のドライブが、最高の思い出になりますように。安全運転でいってらっしゃい!
参考文献
- 世界が認めたマツダ・ロードスターの歴史を振り返る! – GAZOO
- ながら運転の厳罰化とは?対象となる行為と罰則を解説 – 三井住友海上
- 道路交通法 – e-Gov法令検索


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